結論: 年金受給者には3つの壁が同時に影響する
年金受給者がパートで働く場合、給与所得と年金所得が合算されて税金・社会保険が計算されます。特に在職老齢年金制度(2022年改正で基準額47万円に統一)は年金受給者固有の壁です。
- 在職老齢年金の壁(47万円): 基本月額 + 総報酬月額相当額が47万円を超えると年金カット
- 103万円の壁: 年金以外の給与収入が103万円を超えると所得税が発生
- 130万円の壁: 配偶者の社保扶養に入っている場合、パート収入130万円超で扶養から外れる
- 住民税の壁(100万円前後): 自治体により異なるが、給与収入93-100万円超で住民税が発生
1. 在職老齢年金の47万円の壁(65歳以上)
65歳以上で厚生年金に加入しながら働く場合、「年金の基本月額」と「給与+賞与の月額換算(総報酬月額相当額)」の合計が47万円を超えると、超えた額の半分が年金から差し引かれます。
例: 年金月額15万円、パート月給20万円の場合 → 合計35万円で47万円以下 → 年金カットなし。年金月額20万円、月給30万円の場合 → 合計50万円で47万円を3万円超過 → 年金月額から1.5万円カット。
2. 65歳未満(特別支給の老齢厚生年金)の場合
60-64歳で特別支給の老齢厚生年金を受給している場合も、同じ47万円基準が適用されます(2022年4月の改正で28万円から47万円に引き上げ)。以前より働きやすくなりましたが、基準を超えれば年金が減る仕組みは同じです。
3. 年金受給者の103万円の壁
年金収入と給与収入は別々に計算されます。パートの給与収入が103万円を超えると、給与所得控除55万円 + 基礎控除48万円を差し引いた残りに所得税がかかります。年金は雑所得として別計算です。
4. 年金受給者の130万円の壁
配偶者(現役会社員)の社会保険の被扶養者になっている場合、パート収入130万円を超えると扶養から外れます。60歳以上は180万円未満まで扶養に入れる健保組合もあります(協会けんぽは180万円)。
75歳になると後期高齢者医療制度に移行するため、社会保険の被扶養者という概念自体がなくなります。75歳以上はこの壁は関係ありません。
5. パターン別の最適な働き方
- 年金月額が少ない(10万円以下)→ パート収入を増やしても47万円の壁に届きにくい。103万円以下に抑えるか、気にせず働くか選択
- 年金月額が多い(20万円以上)→ パート月収27万円で47万円に到達。フルタイムは年金カットを覚悟
- 配偶者の扶養に入りたい → パート年収130万円(60歳以上は180万円)以下に調整
- 年金カットを避けたい → 厚生年金に加入しない短時間労働(週20時間未満)を選ぶ
6. 「税金の壁ナビ」で年金受給者の壁を確認する
本アプリ「税金の壁ナビ」では、年金受給額とパート収入を入力すると、在職老齢年金のカット額、所得税・住民税の発生ライン、社会保険の扶養判定を一括シミュレーションできます。「いくらまで働いたら損しないか」が一目でわかります。
まとめ
- 年金受給者の壁は「在職老齢年金47万円」「103万円」「130万円(60歳以上は180万円)」の3つ
- 在職老齢年金は年金月額 + 給与月額で判定、超過分の半分がカット
- 年金と給与の所得控除は別枠。年金110万円以下なら年金への課税ゼロ
- 75歳以上は後期高齢者医療に移行するため130万円の壁は消滅
- 「税金の壁ナビ」で年金額 + パート収入を入力して最適な働き方をシミュレーション